『ファントム・ペイン――幻の痛み』(詩)

こころの痛みは 物理的なものではなく
かといって 逃げられるものでもなく

別れたふたりの間に あったものは
深い深い 根が生えていて
それを遠くで見ていた僕には
何も出来やしないのだが

せめてもの せめてもの、と
くすぶる気持ちがあちらこちらで臭い
や、彼と彼女の場合
笑ったり 茶化したりは出来なかったよ

ひとりひとりが ひとりひとりにしかならい

身勝手

もしくは

自由?

それぞれの筋の通し方
血を滲ませながら 忠実でいたい、と
鼓動と呼吸の拍子が
見えない糸を たぐり寄せ 巻き付け
つかんでは離さない

当分 この事は誰にも話せない

こころの痛みは 物理的なものではなく
かといって 逃げられるものでもなく