朱塗りの春(詩)

あなたが僕の名を呼ぶ
この胸は かすかに震え
きっと隠せない 押し殺したとしても
本気だからこそ投げやり でも愛しい

自由なんか欲しくない
見つめられてる間
少しのわがままと軽い酒
このままそばにいれたなら

疲れ 日々追いやられても
鼻歌なんてひねり出して
思い出すまでもなく あなたが頭に焼き付いてる
なんて贅沢だろう

誰かの泣く声が 風向きを邪魔する
船は予定通りには着かない
待ちきれない客のため息
薄紫の空気

そんな事が 嘘に見える
三日三晩 夢で会えたから
距離を越え 肌触りに又震え
孤独の意味と 思いやりをはかりにかける

この世に裸で産まれた時
やっぱり笑っても怒ってもいなかった
ずっと前ここに引っ越した時も
影に追い詰められた気分だった

瀕死のカナリア 涙目の奥
年増狙いの コヨーテのブルース
何もかもおさらばして 空を見たら
あなたが笑ってた

海に刺さる淡水
流れの速さでふたり生きるのだろう
ひぐらしの季節の記憶の中に
甘い汗の匂いが 一巡りし

その前に今は 早稲田通りを抜けて
ソメイヨシノ ざわめきを背負い 伝えよう

この想い あなたに預ける