不自由・不平等・無慈悲で批評家を気取る100の実験

※「ビギン」by ミレニウム

辻、五本の指入る盤。

レコーディングに2年かかったとか、S&G「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム」と共にCBSコロムビア初の16チャンネル録音だとか、何かと伝説を残しておりますが。渋谷系の元ネタっつうのを抜きにしても。静かな再評価が進んでて、未発表音源CD化もボチボチ。フィル・スペクターの発展形、「サージャント・ペパー〜」のアメリカからの回答をビーチ・ボーイズの代わりに敵討ちしたとでも。「ロンバケ」よりも聞きごたえある(俺から云わせれば。でも大滝作品は嫌いじゃない)等々、なんとでも云える。重ね録りの限界を越えた蜜な音の固まり。エコーのセンス、フランジング・エフェクトの斬新さ。ポップな楽曲にアバンギャルドなノイズが被さる、つうのの元祖に祭り上げられるんだろうな、きっと。

理屈抜きに、俺自身、励まされ支えられた盤です。
聴く度に「こんなん音、入ってたっけ??」
それくらい恐ろしい盤なのです。美と残酷さの同居。