幻を愛する(詩)

愛が幻だというのなら
せめて形だけでもと 手を汚すのは罪深いことかな
亡き人が銀幕で語りかけている
幻が永遠に僕等に笑いかけている

幻を愛するあいつを眺め
俺はより確かな明日を見つめてはいたいが
今はとりあえず 黙って
こんなふうに空を 見ていようね

遠くで誰かが俺を見つめ 指先に触れもしない
言うことがないなら 隣の人の手を握り 歩き出してしまうよ
言葉をくれないか 何だっていい
退屈するよりは きっとマシだから

気をつけてほしい
神様がもし 雲の上に居るのなら
気象予報士は僕等の羅針盤を持っている

気をつけてほしい
神様がもし あなたの胸の中に居るなら
この鼓動と夕焼けの色は
何よりの問い掛けになるから

愛が幻だというのなら
その日まで瞳を見つめ合うのは罪深いことかな
泣きながら銀幕を友と誤解し
決め事を二の次にあなたに笑いかけている

幻を愛する熱い眼差し
誰もがより確かな人を求めてはいるが
今はとりあえず 黙って
こんなふうに空を見ていようよ ねぇ