葉桜の頃を過ぎても(詩)

あなたに

あなたの

あなたを

私の中の たくさんのあなた

孤独とは違う ひとりの夜間飛行
行く先は決めない
もしもあなたの住む街を通り過ぎたら
私に気付くかな
何かに没頭してて お邪魔なら
見て見ぬふりを きっとするでしょう
きっと きっと

人から見れば あなたと私は
どんな風に見えるのでしょう
答えを求めてる人
踊り子の息遣いを想像する人
最終走者の二人三脚
もっともっと 曖昧だという人

上へ下への憶測の中
当人は台風の目の中
激しくも強くもなく
かといって 冷たくもなく

毎日会えない間柄でも
夢うつつの電車の座席で
胸ではなく 腕が熱くなる
あなたが知らないうちに
そうしたものを仕掛けた

千鳥足の風が行き止まりをスィング
タンポポの綿毛を 引きつれ
昨日の雨の憂さを晴らすかのように
行こうか戻ろうか 回り道をしてるかのように

砂漠とは違う 公園でおままごとのふたり
ゆっくりと時を味わう
いつも私の住む街を飾る人々は
私に忘れかけたものを 気付かせてくれる
涙に没頭してた ドラマなんて
見過ごしてもかまわない 貸し出し中でも

もっと もっと
映画が見たいと思ったけど
あなたと私の 前と後に見える全てのビジョンは
私ひとりだけの
宝石にしたいから

上から下への億の花火の雪崩
あなたを思うと 降る
激しく 強く 降る

千鳥格子の帽子を捨て
好印象を狙って 買い物に出かける
新しい季節に触れたい
あなたに会うまで せめてもの暇つぶし

きっとあなたは 回り道をしている