不自由・不平等・無慈悲で批評家を気取る100の実験

※「ア・ハード・デイズナイト」ザ・ビートルズ<64>

自作自演ロックバンドのフルオリジナルアルバム、第一号である。
全13曲中、10曲がジョン・レノン作品だから、ほとんどジョンのソロ一発目だ。

今だにジョン伝説、ジョンが一番みたいな空気が一部で囁かれている原因は、彼自身の「痛々しさ」ではないか、と。
JBもエルヴィスも、ポールもディランもストーンズも、ハッタリかませる余裕がある気がしてならない。

詞の面では、ダイレクトな書き方。この時期は物事を例えたりする要素が薄い。
現在なら丁度、浜崎あゆみがいい例である。

既に結婚しているせいもあり、家庭と売れっ子アイドルの間で、辛さをなぎ倒すかのように曲を書く。
次のアルバムには「アイ・アム・ア・ルーザー」というタイトルの曲があり、更に次のアルバムタイトルは、「ヘルプ!」である。

彼女の浮気を叱る痴話喧嘩の歌詞だったり、真剣に口説き落としてる歌詞があったり。
その切実さが人の耳、胸に残るが、次第に彼自身を蝕んでいく。
実際、「プライマル・スクリーム」と云う心理療法を6年後、受けるのである。

彼自身の弱さが、ファンの影と寄り添うのだ。